壺齋散人の 美術批評 |
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聖アントニウスの誘惑(右翼画):ボスの世界 |
「聖アントニウスの誘惑」の右翼画は、美女に化けた悪魔が聖アントニウスを誘惑するシーンを描いている。木のウロから裸体をむき出した女が聖アントニウスに向かって、ウロの中に入って来るように誘っている。木の上には赤い布がかぶせられ、その脇では魔女が化け物に酒を注いでいるが、これは愛の館のパロディなのである。 聖アントニウスは女から顔をそむけているが、その視線の先には空中に浮かんだ丸テーブルと、それを支える裸の男たちが描かれている。男の一人は笛を吹いているが、それは歓楽への誘いの音楽なのだろう。 背景に描かれている都市は悪魔の世界だと解釈される。手前の堀ではドラゴンが泳ぎ、正面の塔からは煙が上がっている。いずれも不吉さの象徴だ。 空には魚に跨った一対の男女が浮かんでいるが、彼らが何の隠喩なのかはよくわからない。 (パネルに油彩、131.5×53cm、リスボン国立美術館) |
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