壺齋散人の美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板




レスタックから見たマルセーユ湾 セザンヌの風絵画




セザンヌは、故郷のエクス・アン・プロヴァンスに近いレスタックが気に入り、機会あるごとにその風景を描いている。この地の魅力については、1876年のピサロ宛の手紙に、海のブルーと建物のオレンジの対象が非常に強烈で、描く意欲が刺激されると書いている。

セザンヌがレスタックの風景をもっとも集中的に描いたのは、1885年前後だ。20点ばかり描いている。「レスタックから見たマルセーユ湾(Le Golfe de Marseille vu de L'Estaque)」と題するこの絵もその一つ。手前の街並みがレスタック。海を隔てた対岸がマルセーユの街並みだ。

マルセーユの街並みは、ぼんやりと描かれており、詳細ではない。ただ一つ目立つのは、画面やや左手の小高い丘の上に白く描かれている建物だ。これはノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院といって、マルセーユのほぼ中心にあって、町全体を見下ろすことができる。

(1885年 カンバスに油彩 73×100.3㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)



HOMEセザンヌ 次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである