壺齋散人の美術批評 |
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カード遊びをする人々 セザンヌの人物画 |
セザンヌは、「カード遊びをする人々( Les Joueurs de cartes)」と総称される一連の絵を制作した。制作時期は厳密にはわからないが、1890年から1892年の間と推測される。全部で五つあり、そのうちの三点は二人の男がカードをいじる図柄であることから、同じ作品の三つのバージョンとされることもある。この五つのなかで、最も大きな画面は五人の男が描かれているもので、おそらくこれがオリジナルの作品であり、ほかの四点はこの作品をもとにして制作されたものと考えられる。 三人の男たちがテーブルを囲んで半円形に座りカードをいじっている。背後にはパイプをくわえて立っている男と、少年がいる。少年は目を伏せているので、ゲームには関心がないように見えるが、パイプの男は自分もゲームに加わりたそうである。 構図に工夫が見られる。三人の男たちが画面の下部に偏っているので、そのままでは視線が下部に集中しすぎる。そこで立っている男を加えることで、視線を万遍なく散らすという工夫だ・ 色彩感は地味な印象だが、衣服や帽子などに変化を持たせてある。その衣服からして、これらの人々は農民だと推測される。 (1890-1892年 カンバスに油彩 134.6×180.3㎝ フィラデルフィア、バーンズ財団) |
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