壺齋散人の美術批評
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メゾン・マリア セザンヌの風景画




セザンヌは田舎の一軒家を好んで描いた。自分の家を描かれた人の中には、家にも肖像権があるといって訴えるものもいたという。メゾン・マリアと呼ばれるこの家の所有主は、家の名称からしてマリアという人なのだろうが、詳しいことはわかっていない。また、その人がセザンヌを訴えたという事実もない。

家の所在は詳しくはわからないが、プロヴァンスのどこかに立っていたのであろう。セザンヌは以前、「絞首刑の男の家」という作品を描き、それを1889年のパリ万博に出品したことがあった。この絵は、それの焼き直しだとする説もある。

この絵のフランス語のタイトルは、「シャトー・ノワールの見えるメゾン・マリア(La Maison Maria avec une vue du Château Noir)」である。シャトー・ノワールとは、画面右側に見える建物のことで、シャトーと呼ばれるにふさわしいものとは思われない。

この絵は、セザンヌ独特のブラシワークを強く感じさせるもので、ブラックやピカソはじめキュビズムの画家に大きな影響を与えた。

(1895年 カンバスに油彩 65×81㎝ フォートワース、キンベル美術館)



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