壺齋散人の美術批評
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青い服を着た女性の肖像 セザンヌの肖像画




「青い服を着た女性の肖像(Portrait de dame en bleu)」と題されたこの絵は、セザンヌ晩年の肖像画のなかでも傑作といえる作品。モデルは、セザンヌが雇っていた家政婦ブレモン夫人であると推測されている。

人物を、感情をもった人間としてではなく、あたかも静物のように表現するというのがセザンヌの肖像画の特徴なのだが、この絵の中の女性は、感情を感じさせる。片腕をテーブルにあずけながら、それによって姿勢を整えようともせず、不安定な姿勢のまま、あらぬ方に視線を向けながら、なにやら思いに耽っているといった印象をあたえる。見るものはそこに、モデルの人間性を感じる。

色彩は地味な感じだが、寒色と暖色とのコントラストがきいて、かなり強烈な印象を与える。

(1900年頃 カンバスに油彩 88.5×72㎝ サンクト・ペテルブルグ、エルミタージュ美術館)



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