壺齋散人の美術批評
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サント・ヴィクトワール山 セザンヌの風景画




セザンヌの80点にものぼるサント・ヴィクトワール山の絵の中で、最晩年(1904)の傑作がこの作品(Montagne Sainte-Victoire)。シリーズの他の絵に比べて抽象度が高いのが特徴である。サント・ヴィクトワール山自体は明確な輪郭で描かれているが、手前の森林地帯はざっくりと表現されている。

前景に家らしいものが点在しているので、かれが好んだ南側からの眺めではない。彼の家に連続した西側からの眺めか。

セザンヌは死の年までこの山を描き続けた。死の年には、この絵と全く同じ構図の絵も描いている。できからいえば、この絵のほうが優れている。セザンヌ晩年の傑作といってよい。

(1904年 カンバスに油彩 70×92㎝ フィラデルフィア美術館)



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