壺齋散人の美術批評
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水浴者たち セザンヌの人物画




水浴する人々をモチーフにした絵を、セザンヌは1870年代の半ばから描くようになり、最晩年まで切れ目なく手がけた。その数はかなりなものだ。最晩年のセザンヌの業績をかざる作品にも、水浴者をモチーフにしたものがある。この作品(Les Baigneurs)は、1894年にとりかかり、1905年に完成した。実に十年以上を費やしている。

水浴者たちといっても、水を浴びている姿ではなく、水辺で休んでいる男女を描いている。その数は十一人。みなそれぞれ思い思いのポーズをとっている。樹木も人間も輪郭があいまいで、対象をそのまま再現していない。セザンヌが自分なりに解釈した形になっている。

画面上部の寒色主体の色合いと、下部の人間の肌や土の色の暖色主体の色合いとが、ちょうどよいコントラストを作り上げている。

(1894-1905年 カンバスに油彩 127×196㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー)



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