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大水浴者たち セザンヌの人物画





フランス語で「大水浴者たち(Les Grandes Baigneuses)」と呼ばれるこの絵は、水浴者たちをモチーフとする一連の作品の頂点をなすもので、セザンヌの最高傑作の一つとされる。ほかの「水浴者たち」と区別するために「大水浴者」と呼ばれるわけだが、それについては、この絵のサイズがけた違いに大きいこともはたらいている。

構図は、1905年に完成した「水浴者たち」(前回取り上げたもの)とほぼ同じである。ただし、人数が11人から15人に増え、画面の中景に水たまりが描かれている。この水たまりがあるために、水浴のイメージが強まるのである。

セザンヌが死んだ時点で、この絵はまだ完成してはいなかった。セザンヌ自身が未完成だと思っていたのだが、どの部分が未完成の要素なのか、明確に指摘できる者はいないだろう。小生などは、完成度の高い作品だと思う。

(1898-1905 カンバスに油彩 210.5×250.8㎝ フィラデルフィア美術館)



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