壺齋散人の 美術批評 |
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ヴァヴァの肖像:シャガールの恋人たち |
愛する妻ヴァヴァの肖像を、シャガールは何枚も描いている。これは1966年に描いたものだから、ヴァヴァは60歳になっていた。画面から見る限りでは、そんなに老けては見えない。その辺は、シャガールのヴァヴァへの愛が、彼女を若々しい印象にさせているのだろう。 木の椅子に横向きに座ったヴァヴァは、絵かき(シャガール)のほうをまっすぐに見つめている。背後にはロバの赤い顔と、男の横顔とが覗いている。又窓枠の向う側では鳥が飛んでいる。鳥の翼の下に転回しているのはヴィテブスクの街だろう。その反対側にはエッフェル塔が聳え立っている。 ヴァヴァの顔と首とがグリーンに塗られているのは、どういうつもりなのか。シャガールは「日曜日」の中で、男の顔の半分をグリーンに塗って以来、たびたび人間をグリーンで塗ってきたが、そこにどんな意図が込められているのかは、語らなかった。 ヴァヴァの手前に恋人たちが浮かんでいる。彼らは何者なのだろうか。 (1966年、キャンバスに油彩、92×65cm、個人蔵) |
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