壺齋散人の 美術批評
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演奏者たち:シャガールの恋人たち




シャガールは、晩年に好んでサーカスの芸人を描いたが、時には自分とヴァヴァとをその芸人に見立てた絵も描いた。「演奏者たち」と題するこの絵は、そんな一枚である。シャガールとヴァヴァとが、並んでこちらの方を見、喝采に応えて挨拶をしているような様子に見える。

シャガールの頭は赤い太陽を思わせるようだ。花束を抱えているのは、観客からのプレゼントだろう。一方ヴァヴァの方は、芸人らしい服装をして、左手でバイオリン、右手で弓を持っている。

二人の足下にはパリの街が広がり、彼らの背後には牝牛や雄鶏などシャガールおなじみの形象が描かれている。

寒色を基調としたバックに、暖色を強調した形象を配置し、独特な色彩のハーモニーを醸し出している。こういう絵を見ると、シャガールが色彩を重視した画家だということがよくわかる。

(1968年、キャンバスに油彩、150×160cm、個人蔵)





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