壺齋散人の 美術批評
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海辺にて(Fatata te Miti):ゴーギャン、タヒチの夢





マタイエアの海岸は、さんご礁の砂洲に囲まれて、内海のようになっている。だから泳ぐには都合がよい。この絵は、その海辺で遊ぶ女たちと、銛で魚をとる男を描いている。

手前の女は、衣装を脱いで裸になろうとし、向こう側の女は裸になって両手を広げ、今にも海に飛び込もうとしている。はちきれるような若さが伝わってくる。ゴーギャンは、この絵を描きながら、南洋の自然の豊かさをも味わったに違いない。

手前の紫を主体にした部分は、砂浜かあるいは叢か、俄には判断できないが、中ほどの黒い部分は大木の幹だろう。マタイエアの海岸は、日本の海と違って、汀近くまで大木が生えているらしい。その大木の幹に赤い花のようなものをつけているのは、ゴーギャンの愛嬌だろう。

遠景の海は深い緑で表現され、ゴーギャンのこの時代の絵にしては、現実感が伝わってくる。



これは女たちの部分を拡大したもの。手前の女の衣装には派手な模様が付されている。遠くで海に浸かっている男は、魚をとるための銛を握っている。(カンヴァスに油彩 67.9×91.5cm ワシントン ナショナル・ギャラリー)





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