壺齋散人の 美術批評
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自画像:ゴッホの自画像7




巴里にやってきたゴッホが影響を受けた画風にスーラやシニャックの点描画があった。スーラとは個人的にも親しくしていたようで、互いに絵の批評をしあった間柄だった。しかし、ゴッホはスーラの画風を評価するのにやぶさかではなかったが、それをすんなり受け入れることはできなかったようだ。弟テオ宛の手紙の中で、「僕はよく彼の方法について考える。もちろん僕にはそれをやる気は全くないが」と書いている。(岩波文庫版ゴッホの手紙)

この自画像は、点描画の影響が多少伺われる作品として知られている。背景には青や赤の点、ジャケットには黄色い点が無数につけられている。しかしスーラの点描画とは本質的な相違がある。スーラの場合には、ひとつひとつの点が色彩や形体の構成要素になっているのにたいして、ゴッホの場合には一つ一つの点はたんなるアクセントに過ぎない。これらの点をどうつないでも、そこからは色彩も形態も見えてこない。

この絵の中のゴッホは、いささかしまりのない顔つきをしている。広すぎる額に表情が乏しく、また両唇がぴったりと合わさっていないせいだろうか。

(1887年春、カルトンに油彩、42.0×34.0cm、シカゴ、アート・インスティテュート)





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