壺齋散人の 美術批評
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自画像:ゴッホの自画像10




ゴッホは、一旦描いたキャンバスの裏地を用いてその上に別の絵を描くことをよくした。ピカソもよくそうしたものだが、ピカソの場合には他人の作品のキャンバスの裏地に自分の絵を描くこともあったのに対して、ゴッホの場合には、昔自分が描いたキャンバスの裏地に、新しい絵を描いた。

この自画像もそうした絵の一枚だ。キャンバスを木枠からはがしたうえで、裏地を表にして、カルトンに張りつけた。

この絵の裏側には、ヌエネン時代の一対の鳥の巣の絵が描かれていた。その絵に比べると、この自画像は遥かに色彩が豊かである。ゴッホの自画像の多くは、画面のこちら側にいる観客を見つめているように受け取れるのだが、この絵の中のゴッホは、別の方角に視線を向けている。向けているというより、さすらわせているといった風情だ。

(1887年夏、キャンバスの裏地に油彩、43.5×31.5cm、アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館)





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