壺齋散人の 美術批評 |
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華麗な技:ゴヤの版画 |
(マドリード闘牛場でファニート・アピニャーニが見せた敏捷さと大胆さ) 版画集「闘牛技」の中核を占めるのは、闘牛士の勇気とそれが演出する華麗な技を描いた作品群である。こうした技の数々を描くときのゴヤは、心からそれを楽しんでいたに違いない。というのも、ゴヤはこれらの絵を、記憶をもとに再現したと思われるのだが、その記憶が鮮明であり続けたというのは、そこに大いなる感動と愉悦の感情がこもっていたと考えさせるからだ。 これは、闘牛士の離れ業を生き生きと描いたものとして、この版画集でももっとも有名になった作品だ。闘牛士が突棒を地面に突き立てて跳躍する瞬間、牡牛が突棒に突進するところを捉えたものだ。闘牛士の身のこなしの軽快さと、技を仕掛ける絶妙のタイミングが、ありありと伝わってくる一枚だ。 ファニート・アピニャーニは、1750年から1770年にかけてマドリードやサラゴーサで活躍し、その敏捷さで有名だった。ゴヤが彼の技を見たのは若い頃だったと推測される。よほど感動したのに違いない。 (セバーリョスがマドリード闘牛場で牡牛にまたがり短槍で別の牡牛をかわし打つ) マリアーノ・セバーリョスは南米出身の闘牛士で、1770年から1780年にかけて活躍した。大胆かつ異国出身ということで、エル・インディオの愛称で人気があったようだ。 この絵は、牡牛にまたがったセバーリョスが、その牛を別の牛にけしかけているところ。こうした演技は、当時のスペインでは非常に珍しかったらしく、多くの記事が言及しているという。 セバーリョスが意のままに牡牛を操るところは、まるでロデオのようである。この牛も生き生きと描かれているが、それを迎えつつ形の別の牛の描き方も巧妙だ。 |
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