壺齋散人の美術批評
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レオ・トロツキーに捧げた自画像 フリーダ・カーロの世界




フリーダは、もともと政治的な傾向が強かった。リベラの影響もあっただろう。その傾向は、1936年にスペイン内戦が始まると強化された。彼女は共和国支援を呼びかけ、連帯委員会を組織したりした。彼女とリベラはまた、ロシア革命の英雄レオ・トロツキーに共感していた。トロツキーが第四インターを結成すると、彼女もそれに共感を表明した。

「レオ・トロツキーに捧げた自画像(Autorretrato dedicado a León Trotsky)」と題されたこの絵は、そんなフリーダのトロツキーへの連帯を表現した作品である。フリーダとディエゴは、スターリンによって追跡されているトロツキーの庇護を、1934年にメキシコの大統領に就任したカルデナスに要請し、それが認められてトロツキーは、ナタリア・セドバとともにメキシコにやってきた。

フリーダは、コヨヤカンにあるカーロ家の屋敷「青い家」をかれらに提供し、親しく交流した。その交流は、フリーダとトロツキーの間に愛を芽生えさせたといわれる。その愛は長続きしなかったが、フリーダはトロツキーに捧げる自画像を1937年の11月に完成させた。彼女の自画像は民族衣装テワナを着た姿で表現されている。

(1937年 メソナイトに油彩 76.2×61㎝ ワシントン、国立女性美術館)



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