壺齋散人の美術批評 |
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希望の木 フリーダ・カーロの世界 |
「希望の木(Árbol de la esperanza mantente firme)」と題されたこの絵も、ニューヨークで受けた手術を回想した作品。彼女はこの絵を、パトロンのエドゥアルド・モリージョ・サファのために描いたのだったが、創作意図については、アレハンドロ・ゴメス=アリアス宛ての手紙の中で述べている。その中でフリーダは、手術の結果背中に巨大な傷ができたと嘆いている。 右半分に月を背景にして椅子に座っているフリーダが、左半分に移動ベッドの上に傷ついた背中を見せて横たわっているフリーダが、それぞれ描かれている。座っているフリーダは、右手に旗を持ち、そこには「希望の木よしっかりとせよ」と書かれている。また、左手にはピンクのコルセットが握られている。このコルセットは、「折れた背骨」の中でフリーダがつけているものである。 画面の左右を通じて荒涼たる大地が背景として広がっている。大地に刻まれた裂け目はフリーダの折れた心をあらわしているのか。フリーダが訴えかけている木はこの画面には見えない。 (1946年 メソナイトに油彩 55.9×40.6㎝ プライベート・コレクション) |
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