壺齋散人の 美術批評
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用心深い天使(wachsamer Engel):クレーの天使




この絵「用心深い天使(wachsamer Engel)」の wachsamer という言葉には、用心深い、用心しているという意味や、見張っている、監視している、という意味もある。どちらにしても、何かに対して身構えているわけである。

では、この天使は何に対して身構えているのだろうか。邪悪なものに対してであろうか、不意に襲い掛かる危険に対してだろうか。それにしては、この天使の姿勢には、あまり緊張感が感じられない。むしろ、うつろに見開いた目が、すきのようなものを感じさせる。天使にはそのほうが似合うといったように。

他の絵とは異なり、この絵はリトグラフの技法でかかれた。石板の上に線の切れ目を入れ、そこに墨を塗って、写し取ったものだ。リトグラフというより、石拓といったほうがいいかもしれない。





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