壺齋散人の 美術批評
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ミス天使(Miss-engel):クレーの天使




天使には性の区別はないはずなのに、クレーは女の天使としての「ミス天使(Miss-engel)」を描いた。この絵の天使が女性であることは、胸のところに女性のおっぱいのようなものがあるところからわかる。おっぱいそのものは男にもついているけど、このようにふくらみのあるおっぱいは、女性だけのものだ。

なぜ、クレーは女性の天使を描いたのだろう。不安に直面した世界に生きる人間たちを慰めたり、包んだりしてくれるのは、天使というだけではたりずに、そのうえに、女性であることが必要であるとでも、クレーは考えたのであろうか。

天使であるから、この女性にも羽根らしいものがある。しかし、下半身が魚の口先のように見えるのはどういうわけなのだろうか。それとも、魚の目のように見えるのは、おなかの中の小さな命なのだろうか。不思議な感じのする絵だ。





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