壺齋散人の 美術批評
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さえずり器械(Zwitscher Maschine):クレーの天使




「さえずり器械(Zwitscher Maschine)」と題したこの絵は、鳥をモチーフにしている。なぜなら、さえずるものとは、ほかならぬ鳥であるからだ。しかし、この絵の中の鳥たちは、生きている鳥ではない。仕掛けの一部としての鳥、機会の部品としての鳥である。

この器械は回転仕掛けで、右手下にあるクランクの取っ手を回すことで回転させるようにできているようだ。だから、鳥たちも回転しているはずなのだが、いまはちょうど、真上にさしかかったところなのだろう。

鳥たちの表情はみなユニークだ。ほとんど目だけのものや、口から吹き矢を飛ばしているものなど。この鳥たちに悪意を読み取る解釈もあるが、筆者にはどうもそのようには読み取れない。

(1922年、紙に水彩と油彩、41.3×30.5cm、ニューヨーク近代美術館)





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