壺齋散人の 美術批評 |
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人形劇場(Puppen theater):クレーの天使 |
人形劇の世界は、どこか天使の世界と通じるものがある。人間たちに夢や希望を運んでくれるからだろうか。クレーの場合には、その夢を、息子フェリックスに届けてやりたいと考えたのだろう。彼は実際、息子のために、人形劇の舞台を作ってやったり、このような、人形劇の絵を描いてやったりした。その影響があったのだろう、息子は成人すると演出家になった。 「人形劇場(Puppen theater)」と題するこの絵は、題名のとおり、人形劇の劇場の様子を描いたものだ。舞台中央にマリオネットの人形が立ち、その両側には、灯りに照らされた階段が見える。右手の階段の先には尖塔が立ち、その天辺には星が輝いている。左手の階段は、そのはるか上のほうにやはり星が輝いている。マリオネット人形の足元には、ちいさな人形やらユニコーンらしい形の人形が描かれ、その下の奈落と思われるところには、鮮やかな色彩の風変わりな形が描かれている。 なお、この絵は、厚紙の上に、二枚の包装紙を貼り付けたものだ。二枚の紙は、舞台下部と奈落の境のところでつながっている。クレーがなぜ、こんなことをしたか、よくわからない。 (1923年、紙にチョークと水彩、52.0×37.6cm、ベルン美術館) |
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