壺齋散人の美術批評 |
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乾草車 コンスタブルの風景画 |
「乾草車(The Hay Wain)」と題されたこの絵は、六フィートの大作シリーズの第三作。コンスタブルの最高傑作と目されている作品である。1821年のローヤル・アカデミー展で非常な反響を呼んだが、買い手はつかなかった。数年後に、他の小サイズの作品と合わせて、バイヤーに買われた。この作品は、フランスにおいても話題となった。この絵を見たジョリコーは非常に興奮していたとドラクロアが語っているし、また、作家のノディエは、フランスの画家も身近な自然を描くべきだと言った。 モチーフは、シリーズの前二作同様、サフォークを流れるトアー川である。その川を三頭の馬にひかれた乾草車が渡っていく。目指すのは左端の粉ひき小屋。この小屋は、ウィリー・ロッツの持ち小屋で、コンスタブルの父親の持ち小屋であるフラットフォード・ミルの近くにあった。いまでも存在しているという。 このあたりのトアー川は、サフォークとエセックスの境を流れており、向かって左側がサフォーク、右側がエセックスである。どちらも平坦な地がつらなっている。いかにもイギリス的な眺めである。 (1821年 カンバスに油彩 130.2×185.4㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー) |
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