壺齋散人の美術批評 |
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ハドリー城 コンスタブルの風景画 |
ハドリー城(Hadleigh Castle)は、エセックス州のテームズ川の河口にある城塞である。13世紀に、重要な防衛拠点として作られた。しかし、19世紀には廃墟と化していた。コンスタブルはその廃墟のスケッチを1814年におこなっていた。そのスケッチをもとに油彩画を仕上げるために、油彩による下準備を行い、そのうえで本作を完成させた。1829年のアカデミー展に出品された。 廃墟と化した城塞の荒涼たる眺めが表現されている。画面左手の小高いところに、崩れ落ちた城壁や散乱した礎石が描かれ、遠景にはテームズ側の河口部が横たわっている。左下に犬を連れた人物がいるほかに、中央部には羊らしき生き物を配している。人間や動物を画面に配するのはコンスタブルの重要な特徴の一つだ。 分厚い雲に覆われた空も、コンスタブルの特徴である。かれはまた、荒涼たる雰囲気を出すために、荒っぽいブラシ捌きを行っている。歴史を感じさせる画題は、イギリスロマン主義芸術の流れに沿ったものだ。 (1829年 カンバスに油彩 121.9×164.5㎝ イエール大学) |
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