壺齋散人の 美術批評
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メイ・ミルトン:ロートレックのポスター





メイ・ミルトンはイギリス人のダンサーで、メイ・ベルフォールとは仲良しだった。それでベルフォールのためにポスターを作ってやったリートレックは、ミルトンのためにも作ってやらざるを得なかった。ロートレックには心のやさしい面もあったのだ。

ベルフォールのポスターが赤とグリーンを基調にしているのに対して、このポスターは青と黄色を基調にして、両者の対比を鮮やかな形で強調している。だが、斜めになった舞台とか、ポスター全体のサイズの面では共通している。同一性と差異とを劇的な形で表現しているわけだ。

ピカソはこのポスターのコピーを所有していて、自分の作品の背景として描いているそうだが、資料をあたったところ特定することができなかった。ワシントンのフィリップス・ギャラリーが所蔵する Interiar with bather という作品だそうだ。

ベルフォールの顔にはあまり豊かな表情が感じられなかったが、このポスターのなかのミルトンの顔にも、美しさは感じられない。

(1895年 リトグラフ 79×60㎝)




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