壺齋散人の 美術批評
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洪水:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」




創世記は、神が洪水を起こしたのは、人の悪が地にはびこった為に一旦彼等を滅ぼそうと決心したからということになっている。だがすべての人を滅ぼすにはしのびず、ノアとその家族を、一部の動物たちと共に生き延びさせることとした。その部分を創世記第六章は次のように記述している。

「6:5主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。 6:6主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、 6:『わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる』と言われた。 6:8しかし、ノアは主の前に恵みを得た」(口語訳聖書)

雨が40日間降り続き、すべての大地が水に沈んだ。箱舟に乗って非難したノアとその家族のほかは、すべての生き物が死に絶えた。洪水は150日の間地にみなぎったあと、ようやく引き始めた。ノアたちの乗った箱舟は、水が引いた後に最初に地上に現れたアララット山の頂にとどまった。

ミケランジェロのこの絵は、押し寄せる洪水から身を守ろうとして非難する人々を描いている。まだ沈んでいない土地に這い上がろうとする人々、粗末な船に乗って漂流する人々、おぼれかけている人々など、それぞれに多彩な表情をしている。



これは絵の左半分。命からがら陸地の上に這い上がってきた人々を描いている。中には裸一貫になったひともいるし、食料の入っているらしい袋を担いでいるものもいる。



これは岩山の頂点だろ言うか、それとも筏のように漂流している氷のかけらだろうか。狭い場所の上に大勢の人々がひしめいている。彼らには未来はやってこないのだ。





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