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預言者エゼキエル:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」




エゼキエルは、バビロン捕囚時代に神によって招命された預言者である。神による彼の招命および彼の予言の詳細は旧約聖書の「エゼキエル書」に記されているとおりである。エゼキエルについて知られていることは、すべてこの書物によっている。

エゼキエルの招命について、「エゼキエル書」は次のように記述している。「2:3 彼はわたしに言われた、『人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの民、すなわちわたしにそむいた反逆の民につかわす。彼らもその先祖も、わたしにそむいて今日に及んでいる。2:4 彼らは厚顔で強情な者たちである。わたしはあなたを彼らにつかわす。あなたは彼らに"主なる神はこう言われる"と言いなさい』」

神はエゼキエルに向かってこのように言った後、彼に巻物を手渡した。「2:9 この時わたしが見ると、見よ、わたしの方に伸べた手があった。また見よ、手の中に巻物があった。2:10 彼がわたしの前にこれを開くと、その表にも裏にも文字が書いてあった。その書かれていることは悲しみと、嘆きと、災の言葉であった」

ミケランジェロのこの絵は、神から巻物を手渡されたエゼキエルを描いているものと考えられる。彼は手渡されたばかりの巻物を左手で持ちながら、不審そうな顔を横に向けて、おそらく神の所在を探しているのだろうと思われる。

なお、エゼキエルの予言とは、やがてイスラエルが再建されるだろうことと、新しいイスラエル国家がどのようなものでなければならないかについての神意を語るというものであった。





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