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エリトレアの巫女:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」




エリトレアは小アジアのイオニア地方にあった都市である。この都市を建設したのはクレタの人エリトルスであったので、彼の名にちなんでエリトレアと名づけられた。この都市には何人かの巫女の存在が指摘されているが、もっとも有名なのは、エリトレア出身のアポロドーロスの証言による者である。彼は同時代のエリトレアの巫女が、トロイ戦争の勃発とトロヤの敗北を予言したと言っている。また、この戦争について、ホメロスがうそをつくとも予言したそうである。

ミケランジェロの描いたエリトレアの巫女は、男性のように逞しい体つきをしている。大きな書物を開いて読んでいるのはどんな文章なのか。エリトレアの巫女にまつわる伝説としては、一文字づつ記した葉っぱを組み合わせることで、文章を表し、それを通じて信託を伝えたという話がある。ミケランジェロは、その話を無視して、葉っぱではなく、紙の書物を彼女に配したわけである。



背後の子供は、秤のようなものを掲げながら、火のついた松明を弄んである。それが何を意味しているのか、よくはわからない。



これは、男女一対のプット。どちらも性差を感じさせない。





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