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マックス・ジャコブ:モディリアーニの肖像画




マックス・ジャコブは、ブルターニュ生まれのユダヤ人で、詩人でありかつ画家でもあった。詩人としては、アポリネールやコクトーと並び、現代詩の先駆者の一人に数えられている。交友範囲が広く、また面倒見が良いことで有名だった。モディリアーニと知り合ったのは、「洗濯船」時代のことだったらしい。しかし後にベアトリス・ヘイスティングズを奪おうとして、モディリアーニと気まずくなったといわれている。

モディリアーニはマックス・ジャコブの絵を二枚描いている。これはそのうちの一枚である。もう一枚の絵もそうだが、モディリアーニはモデルのもっている本質的な部分だけを浮かび上がらせ、余計なものはすべて切り捨てている。その結果、絵は単純化された印象を与える一方、深い精神性を感じさせもする。この絵の場合、その精神性は、彫刻を思わせるような立体的表現と白く塗りつぶされた瞳の底から伝わってくるようである。

なお、マックス・ジャコブは、第二次世界大戦中にナチスによって捕えられ、ドランシーの強制収容所で死んだ。

(1916年、キャンバスに油彩、73×60cm、デュッセルドルフ、ノルトライン・ヴェストファーレン美術館)





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