壺齋散人の 美術批評
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レオン・バクスト:モディリアーニの肖像画




レオン・バクストはロシア生まれの画家かつ舞台美術家として知られ、ディアギレフのロシア・バレー団の美術監督として、名声を高めた。1912年以降はパリに定住し、ベル・エポックの芸術家とも親交を持った。モディリアーニとは、芸術家仲間を通じて知り合ったらしい。

この絵は、バクストの依頼にもとづき、バクストの家で描かれたらしい。バクスト自身がある日、いま自分の家でモディリアーニを待っているところだと、友人に証言している。その証言によれば、バクストはモディリアーニの才能に感嘆していたらしい。おそらくこの絵の下絵となったスケッチを友人に見せながら、自分の顔の特徴が、何の修正も加えずに、まるで目打ちをつかっているかのように、くっきりと再現されている、といっている。

この絵にも、モディリアーニ独特の様式性~半弧を描いた眉、アーモンド形の小さな眼、長い鼻と小さな唇~といったものは伺われる。モディリアーニには、モデルを自分の様式にあてはめて再現しながら、なおもモデルの顔の特徴を、くっきりと再現するという、希代な才能があったということだろう。

(1917年、キャンバスに油彩、55.3×33.0cm、ワシントン、ナショナル・ギャラリー)





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