壺齋散人の 美術批評
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黄色いセーターのジャンヌ:モディリアーニの肖像画




南仏でのモディリアーニは、無名の隣人たちの肖像を描くかたわら、ジャンヌ・エビュテルヌの肖像を数多く描いた。その数は20点以上にのぼる。ジャンヌ・エビュテルヌは南仏滞在中の1918年12月に娘を出産しているが、モディリアーニの描いたこの時期のジャンヌは、妊娠しているという印象を与えないし、また、生まれた子供と一緒にいるシーンもない。いつも、単独で若々しい姿で描かれている。その点、生まれた子供と遊ぶ妻の姿を好んで描いたピカソとは異なるところだ。

この時期のジャンヌの肖像画のポーズは、半身でこちら側を見つめている構図のものが多いが、そのポーズが、小さな頭を頂点にした三角形を描いている。モディリアーニはこうすることで、構図が安定すると考えたのであろう。

この絵の中のジャンヌは黄色いセーターを着ているから、時期的には1918年から翌年にかけての冬だろうと思われる。もしそうなら、あたかも娘を生んだ時期の前後に当っているわけだ。この絵の中のジャンヌの下半身は非常に大きく誇張されているので、お腹の中に子供がいるのかもしれない。

(1918-19年、キャンバスに油彩、100×64.7cm、ニューヨーク、グッゲンハイム美術館)





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