グルメ：ピカソ、子どもを描く |
 |
|
「グルメ（Le Gourmet）」と題されたこの絵は、別名を「食いしん坊の子ども」ともいうとおり、夢中で食事をしている少女を描いたものだ。小さな少女がテーブルによりかかるようにして、大きなボールを両手で抱え、匙でスープを掬い取ろうとしている。その表情は真剣そのものだ。 同じ時期の「鳩を持った子ども」と比較すると、大分違いがあることに気づく。こちらの方が色彩が柔らかく感じられるのは、光のせいである。テーブルの表面と少女の顔にあたった光が、画面に一種の暖かさをもたらしている。 また、フォルムもこちらのほうが込み入っている。背景はやはり単純化されているが、少女の衣服には陰影が強調されている。 色彩もまた、こちらのほうが豊かに感じられる。ブルー一点張りではなく、黄色やオレンジといった暖色を配置している。そのことで、絵全体に膨らみのようなものが生まれている。 この絵は、近現代の美術収集家であったチェスター・デールによって、1962年に、多くの他のマスターピースとともに、ワシントンのアート・ギャラリーに遺贈された。 （1901年、キャンバスに油彩、92.8×68.3cm、ワシントン、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート） |
|
|
HOME｜ピカソ子どもを描く｜次へ |