壺齋散人の 美術批評 |
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アルルカンに扮したパウロ:ピカソ、子どもを描く |
ピカソは、初めての子であるパウロに、色々な衣装を着せた肖像画を描いた。この「アルルカンに扮したパウロ(Paul en arlequin)」もそうした一枚だ。 アルルカンや軽業師は、ピカソが若い頃から好んで取り上げたモチーフだ。だから、自分の息子をアルルカンに見立てて描いたのも、そう不自然なことではない。このほかに、闘牛士の格好をさせたりピエロの扮装をさせたりもしているから、ピカソのサーカスあるいは大道芸好きには、根の深いものがあったのだろう。 同じようなテーマの絵は、ピカソ以外の作家にも認められる。例えばルノアール。ルノアールも息子のクロードに道化の衣装を着せた絵を描いているが、ピカソは、この絵を描いた頃、ルノアールに傾倒していたことがわかっているので、あるいはルノアールの絵の影響が、この作品にあるのかも知れない。 そのほかに、この絵の中のパウロよりも、もっと年上の少年に道化の衣装をまとわせているものとして、セザンヌ(17歳になった息子にアルルカンの格好をさせた絵を描いた)やマネ(笛吹きの少年)などもあり、ピカソがこれらにインスピレーションを受けたと考えることも、できないではない。 いずれにしても、この絵の中のパウロは、つんとすましかえっている。3歳の小さな男の子の素直な表情というよりは、芸人の様式化された表情といえる。 (1924年、キャンバスに油彩、130.0×97.5cm、パリ、ピカソ美術館) |
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