壺齋散人の 美術批評 |
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ポーズする女たちの習作:スーラの点描画 |
「ポーズする女たち」の制作過程で、スーラは例によって多くの習作を残しているが、そのうち三人の裸体モデルそれぞれについて、かなり完成度の高い作品を描いている。上は「立ち姿のモデル」を描いたもので、これだけ単独の作品としても十分鑑賞に耐える。評論家のジュール・クリストフはこの作品を褒めて、アングルの泉よりはるかに純粋で甘美であると絶賛した。 小画面ながら、点描法がきいているので、大作のように見える。完成作品と比較すると、ポーズの構図はほとんどかわらないが、色彩感がかなり違う印象を受ける。こちらは青を基調にして、さわやかな感じに仕上がっている。(1887年 カンバスに油彩 25.0×16.0㎝ パリ、オルセー美術館) これは、「横向きに腰かけるモデル」。これも青を基調にしている。完成作品では、女はストッキングをはく動作をしているが、この絵の中の女は、靴下をはく動作ではなく、足元に手を伸ばして、なにかほかのことをしているように見える。これは「スピナリオ」といって、とげを抜く少年の古代以来おなじみのモチーフを踏まえたものだとする指摘もある。そう言われれば、この絵の中の人物は、少年のように見えなくもない。(1886年 カンバスに油彩 25.0×19.0㎝ パリ、オルセー美術館) これは、「背中を見せるモデル」。完成作品では、モデルは白い布を尻のまわりにまとっているが、ここでは尻はむしだしのままで、そのかわりに輪郭線をわざとぼかしてある。(1887年 カンバスに油彩 24.5×15.5㎝ パリ、オルセー美術館) |
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