壺齋散人の 美術批評 |
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大食:ブリューゲル「七つの大罪シリーズ」 |
中央の女性が丸テーブルを前にビールをがぶ飲みしている。彼女が椅子代わりにしているのは豚で、大食のシンボルだ。彼女の仲間の女性たちも、怪物たちにそそのかされて暴飲暴食をしている。 周囲には大食に耽る者たちの姿がちりばめられている。中央にある樽からビールを汲んで飲んでいる司祭風の男には、尻尾が生えている。獣と同様だという風刺だろう。魚の形をした本物の獣は、腹が避けてもなお食い続けている。左手には食いすぎたものを川に吐き出す人間が描かれている。その手前のグリロスもスプーンを口にくわえているといった次第だ。 左手の大男が何を表しているのか、よくわからない。ボスの油彩画「聖アントニウスの誘惑」に似たような姿の男が出てくるから、あるいは大食の誘惑をイメージしたのかもしれない。 右手に風車の羽をはやした人間の頭がでてくるが、これも口中に食い物を詰め込んでいる。 大食への罰も描かれている。右手にはビール樽に体を突っ込んだ人間が、その下には樽に入ったまま川に浮かんだ人間が描かれているが、これは大食の罰として川に落とされたのだろう。遠景には釜茹でにされている人々もいる。 |
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