壺齋散人の 美術批評
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二匹の猿:ブリューゲルの世界




この絵には背景としてアントワープの町が描かれているという。ブリューゲルがアントワープを描いたのはこの絵だけだ。これを描いた翌年(1563年)、ブリューゲルはアントワープを去ってブリュッセルに移り住んだ。

絵のイメージは「はしばみの実のために裁判にかけられる」というネーデルランドの諺に基づくといわれる。右手前に散らかっているのがハシバミの実の殻、この二匹の猿はハシバミの実を争って裁判にかけられ、囚われの身になったのかもしれない。

左の猿はうつろな目つきで正面を向き、右の猿はうつむき加減の姿勢で何かを後悔しているようだ。猿はキリスト教社会では、自惚れとか貪欲といった概念と結びついていた。

(1562年、油彩、20×23cm、ベルリン国立美術館)





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