壺齋散人の 美術批評
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穀物の収穫:ブリューゲルの世界




この絵「穀物の収穫」は、月歴画連作のうち8月を描いたものである。良く実って刈入れを待っている麦畑が画面の下半分を領し、上半分には穏やかな色をした空と、のんびりとした田園風景が描かれている。

「干し草の収穫」と異なり、この絵に出てくる人々はどうも、労働の喜びを感じさせないようだ。左手で麦を刈っているらしい農夫たちはいかにも疲れ切ったという表情をしているし、右手には木の下で弁当を広げる一団が描かれている。

麦畑の向うには、教会らしい建物が建っている。ブリューゲルは風景の中に教会を加えることで、人間と自然の和解のようなものを表現したかったのかもしれない。

(1565年、キャンバスに油彩、118×163cm、ニュー・ヨーク、メトロポリタン美術館)





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