壺齋散人の 美術批評 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|水彩画|ブレイク詩集|フランス文学|西洋哲学 | 万葉集|プロフィール|BBS |
ベツレヘムの嬰児虐殺:ブリューゲルの世界 |
ヘロデ王による嬰児虐殺はマタイの福音書に出てくる話だ。新しい王がベツレヘムに生まれたと、東方の三博士から聞いたヘロデ王が、自分の王位が奪われるのを恐れて、ベツレヘムにいる2歳未満の男児をすべて殺せと命じたエピソードだ。 画面には槍や刀で突き刺される子ども、殺されて裸のまま母親の膝に横たわる子ども、自分の子どもの命乞いをする父親などが、すさまじい迫力を以て描かれている。 後方には槍を突き立てた兵士たちの一団が描かれているが、槍を突き上げる仕草は、スペイン軍の特徴の一つだった。兵士たちの中心には白いひげの男が馬に跨っているが、それはスペインのアルバ公を暗示しているといわれる。 この絵は、聖書のエピソードを借りて、スペインによるフランドル支配の残虐性を訴えたものだと解釈される。 (1566年頃、板に油彩、116×160cm、ウィーン美術館) |
|
前へ|HOME|ブリューゲルの世界|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |