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サウロの回心:ブリューゲルの世界




サウロの回心の話は聖書の「使徒列伝」の中に出てくる。ダマスカスに向かっていたサウロの部隊がダマスコ近くに差し掛かった時、イエス・キリストの声がサウロに話しかけ回心をせまったという話だ。サウロは回心したのちパウロとなって、キリストの教えを広めるようになる。

ブリューゲルがこの話にどんな意味を読み取ろうとしたのかはよくわからない。

この絵の中では、サウロは画面のほぼ中央部におり、同時代人と同じ青い服を着て、ひっくり返っている。その手前には黒い服を着て馬に跨った男が強調して描かれているが、これはスペインのアルバ公ではないかとの解釈もある.

回心と云うことでは、1567年にフランドルの総督としてスペインから派遣されてきたアルバ公は、フランドルの人々の信仰を、プロテスタントからカトリックに改宗するよう、強く迫った。そこから深刻な宗教戦争がはじまる。その戦争は80年間もの間続き、フランドルはカトリックに改宗したベルギーと、プロテスタントを守ったオランダとに分裂するのだ。

(1567年、板に油彩、108×156cm、ウィーン美術館)





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