壺齋散人の 美術批評
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農民の踊り:ブリューゲルの世界




この絵は「農民の結婚式」とほぼ同じ時期に描かれたと思われる。全く同じ大きさの板で描かれ、色彩感覚にも共通するものがある。

画面の右半分は広場で踊りに興じる男女たちが、左半分には酒を飲んでクダをまく人々が描かれている。踊っている人々は輪になっているから、おそらくロンドを踊っているのだろう。手前の老人は若い女の手をとって、ややにやけた表情をしている。奥の方では、女を踊りに連れ出そうとする男が描かれ、広場の突き当りには教会の建物がそびえている。

左手の、何事かもめあっている男たちの後ろでは、男女がぎこちなく接吻を交わしている。

左手前の二人の小さな人物は、大人の真似をしている子どもたちだ。彼らはただ体が小さいということ以外に、子どもであることを感じさせる兆票がない。

(1568年、板に油彩、114×164cm、ウィーン美術館)





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