壺齋散人の 美術批評
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足なえたち:ブリューゲルの世界




盲人たちに対すると同様、ブリューゲルは乞食たちも容赦ない目で観察して描いている。ブリューゲルの時代には、乞食たちは珍しい存在ではなかった。彼らは自分たちが乞食に陥らざるを得なかったそれぞれの事情に従って徒党を組み、お互いに助け合いながら生きていた。

この絵に出てくる乞食たちはみな足を失ったものたちである。足を失ったことでは共通しているが、出身の階層は違っている。その相違を彼らは帽子によって表現している。

右側から、白い頭巾は農民、毛皮の帽子はブルジョワ、ミトラは聖職者、紙の冠は兵士と云った具合だ。

右手後方の女性は乞食たちに食事を運んできたのだろう。


(1568年、油彩、18×21.5cm、ルーヴル美術館)





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