壺齋散人の 美術批評
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嵐の海:ブリューゲルの世界




嵐の海と呼ばれるこの絵はブリューゲル最後の作品だろうといわれている。作品の完成度が低いのは、恐らく時間ぎれとなってしまった結果ではないか。

嵐のために大荒れとなった海に、たくさんの船が浮かび、その間をクジラと樽が漂っている。樽は船から投げられたと思われるが、それは海の怒りを鎮めるための行為であったか。

嵐にも拘わらず波の上には大勢のカモメが飛び回り、遠くの背景には教会の先頭が見える。ブリューゲル一流のコントラストだ。

(1569年、板に油彩、71×97cm、ウィーン美術館





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