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岩窟の聖母(第二ヴァージョン):レオナルド・ダ・ヴィンチ




レオナルド・ダ・ヴィンチは、ミラノのフランチェスコ教会のために描いた「岩窟の聖母」を別人に売却してしまったために、教会との間でトラブルを起こした。そこで、その埋め合わせとして製作したのが、現在ロンドンのナショナル・ギャラリーにある第二ヴァージョンの「岩窟の聖母」である。

絵の構図は、第一ヴァージョンと非常によく似ているが、一部相違もある。マリアと幼児キリストの頭上に光輪が加わっていること、ヨゼフについては光輪のほかに錫杖を抱いていることなどである。

画面全体の印象としては、第一ヴァージョンよりも明るさを感じさせる。それは背景の岩窟が暖色系で塗られていることや、前面に花を配していることの効果である。

第一ヴァージョンに比べると、ヨハネの描き方が丁寧になっている。マリアとの距離も近くなっている。その背景には、聖フランチェスコ教団が、フランチェスコと共にヨハネを深く信仰していたことがあると思われる。(板に油彩 195.5×120cm ロンドン、ナショナル・ギャラリー)





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