壺齋散人の 美術批評
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四人の魔女:デューラーの銅版画




「四人の魔女」と題するこの銅版画が、イタリアで好んで描かれた「三美神」のパロディであることは明確だ。デューラーは伝統的な三美神のポーズをもとにして、それに四人目の美神を加えたのだったが、それを四美神とするかわりに、四人の魔女とした。そこにイタリア・ルネサンスの画家とは異なる、北方の画家としてのデューラーの面目がある。

奥のほうに立ってうつろな目をしている女性をのぞいて、こちら側にたっている三人の女たちはみな豊満な肉体を誇っている。臀の肉などは、重さのあまりはちきれそうだ。

女たちの足もとには髑髏がころがり、左手のかまどらしき穴では火が燃え盛っている。ここは地獄の一角なのだろう。

地獄と言っても光がないわけではない。光は右側の方向からさしてきて、女たちの身体に陰影を刻んでいる。その陰影をデューラーは、巧みなハッチングワークで表現している。

(1497年、銅版画、19.4×13.5cm)





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