壺齋散人の 美術批評
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黙示録の四騎士:デューラー「ヨハネの黙示録」




「黙示録の四騎士」は、「ヨハネの黙示録」第六の前段の部分で、子羊が七つの封印のうち最初の四つの封印を解いた時に出現したということになっている。それらは、戦い、殺戮、審判、死の象徴だとされ、世界の終末に出現する光景をそれぞれシンボライズしたものだと信じられてきた。テクストからそれぞれの部分を書きだすと、次のようである。

第一の封印を解くと、「白い馬が現れ、乗っている者は弓を持っていた。彼は冠を与えられ、勝利の上にさらに勝利を得ようと出て行った」(日本聖書協会訳、以下同じ)

第二の封印を解くと、「火のように赤い別の馬が現れた。その馬に乗っている者には、地上から平和を奪い取って、殺し合いをさせる力が与えられた。また、この者には大きな剣が与えられた」

第三の封印を解くと、「黒い馬が現れ、乗っている者は、手に秤を持っていた」

第四の封印を解くと、「青白い馬が現れ、乗っている者の名は"死"といい、これに陰府が従っていた。彼等には地上の四分の一を支配し、剣と飢饉と死をもって、更に地上の野獣で人を亡ぼす権威をあたえられた」

この絵を見ると、一番奥に第一の騎士が、以下手前に向かって順次第二以下の騎士が描かれている。一番目立つのは第三の騎士であり、彼は右手に秤を以て、自分が人の運命を審判するものであることを自慢している。一番手前には死の騎士が描かれており、彼が跨っている馬の足元には、地獄(陰府)の入り口である巨大な口が描かれている。

デューラー以前には、四騎士はそれぞれ別に描かれるのが普通であった。それをデューラーは一枚の図柄に、軍団のように集合体として描いた。また、馬を空中を飛んでいるように描いたのも、デューラーがはじめてだった。

(1497-1498年、木版画、39×28cm、カールスルーエ国立美術館)





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