壺齋散人の 美術批評
HOMEブログ本館東京を描く水彩画ブレイク詩集フランス文学西洋哲学 | 万葉集プロフィールBBS


パウムガルトナー祭壇画:デューラーの芸術




パウムガルトナー祭壇画は、ニュルンベルグのパウムガルトナー家の依頼に応じて作られた祭壇画で、1503年に亡くなったパウムガルトナー家の当主を記念するためのものである。中央にキリスト誕生の場面が、両翼に聖ゲオルクと聖エウスタキウスの全身像が描かれているが、これらの人物は、パウムガルトナー家の二人の息子の特徴を具有していると伝えられている。

中央画面の構図は、細密に描かれた巨大な建物によってマリアの存在感が毀損されているなど、かなりな無理を感じさせるが、両翼の人物は良く描けているといえる。人体比例研究の成果が如何なく発揮されているとともに、色彩感もなかなかのものだ。

デューラーは二度目のイタリア旅行をきっかけにして、油彩画の技術を一段と進化させたといわれるが、この絵を見ると、少なくとも色彩の豊かさと言う点では、第二次イタリア旅行以前に、すでにかなりな進歩を遂げていたということができる。

(1503年頃、板に油彩、157×248cm、ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク)





HOMEデューラー次へ







作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2013
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである