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コロー「ヴィル・ダヴレーのカバスュ邸」:バルビゾン派の画家たち




ヴィル・ダヴレーはパリ近郊の村。コローが21歳のとき、父親がこの地に別荘をたてたので、コローはこの別荘に頻繁に滞在して、多くの風景画を描いた。「ヴィル・ダヴレーのカバスュ邸(Maison Cabassud à Ville d'Avray)」は、1935年から40年にかけて製作したもので、数多くあるヴィル・ダヴレーもののなかでも傑作というべきものである。

モチーフは、近所にあるカバスュ邸と、そこにいたる道沿いの自然である。道はいったん下がって、そのあと屋敷に向って上り坂になっている。その勾配が如実に伝わってくるように描かれている。

坂の底の部分に二人の人物が、シルエット状に加えられている。そのうちの一人は馬に乗っているようである。この人物のせいで、画面に動きが生まれている。見るものは、この人物の先に、坂の上の邸宅へと視線を導かれる。

コローの風景画としては、非常に明るいイメージの作品である。なお、この作品は八王子にある村内美術館が収蔵している。

(1935-20年 カンバスに油彩 56.0×38.5cm 八王子、村内美術館)




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