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ルソー「グランヴィル近郊の眺め」:バルビゾン派の画家たち




テオドール・ルソーはコローより16歳も年下だが、非常に早熟で、コローより早く注目された。1931年には、若干19歳にしてサロンに出展している。当時ロマン派の有力画家だったユエは、ルソーの絵の新しさをロマン主義の模範と褒めたのだったが、それは野外での写生にもとづくフレッシュな画面を、ロマン派の技法と同じものと考えたからだった。しかしルソーには、ロマン主義者としての自覚はなかった。

1933年のサロンには、「グランヴィル近郊の眺め(Vue pris des côtes, à Granville)」を出展し、激賞された。この年のサロンには、コローも「フォンテーヌブローの森の浅瀬」を出展しており、以後この二人は、フランスの新しい風景画の指導者と見なされ、バルビゾン派の形成につながっていく。

フランス風景画史上に重要な意義を持つ作品との評価が定着している。コンスタブル(イギリス)やロイスダール(オランダ)の影響も指摘される。ルソーはそうした影響を受けながら、次第に独自の境地を開拓していくのである。それは、画面の明るさに代表されるのでるが、屋外での写生がそうした明るさをもたらしたといえよう。

(1833年 カンバスに油彩85×165cm サンクト・ペテルブルグ、エルミタージュ美術館)




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