壺齋散人の 美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板


クールベ「ボードレールの肖像」:バルビゾン派の画家たち




ボードレールが「悪の華」を刊行したのは1855年のことだ。それ以前のかれは、美術批評家として知られていた。サロンの批評を書く傍ら、フランス美術の歴史的な概観などを書いて、一部の美術関係者に注目されていた。そんなボードレールとクールベが、どのようないきさつで仲良くなったのか、よくわからない。1847年には互いに親しく出入りし、クールベはボードレースの肖像も描いた。

この肖像画の中のボードレールは、まだ二十台半ばの若さだったが、画面から見る限り、額の生え際は後退し、初老の男のような印象を与える。わずかにおだやかな目が年齢相応の若さを感じさせる。

1855年のパリ万博の際に、特設の個展会場で展示した。その四年後に、出版商のプーレ・マラシが買い求めている。その後、アルフレド・ブリュイヤールが3000フランで購入し、モンペリエのファーブル美術館に寄贈した。

クールベの写実的な画風が伝わってくる作品である。

(1849年頃 カンバスに油彩 54×65cm モンペリエ、ファーブル美術館)




HOME バルビゾン派次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである