壺齋散人の美術批評
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モン・サント・ヴィクトワールとアルク川渓谷の高架橋 セザンヌの風景画




モン・サント・ヴィクトワールは、セザンヌの故郷エクス・アン・プロバンスにある山。この山をセザンヌは何度も描いている。数十点にのぼる。1880年代に多く描いた。この絵(La Montagne Sainte-Victoire et le viaduc de la vallée de l'Arc)はその一つ。サント・ヴィクトワール山と、その前を流れるアルク川、川に係る高架橋をモチーフにしている。

この高架橋は鉄道線路のためのもので、エクスとマルセーユを結んでいる。エクスの街が、画面左手に見える。サント・ヴィクトアール山はエクスの町の東側にある。だからこの絵は、町の西側から見た景色である。かなり遠い距離からの眺めであろう。

高い樹木を画面中央に配するのは大胆な構図である。ふつうは嫌われるところで、かりに現実にそこにあったとしても、別の形で表現されるものだ。セザンヌの風景画の代表作の一つである。

(1882-1885年 カンバスに油彩 65.5×81.7㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)



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