壺齋散人の美術批評
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サン・ヴィクトワール山 セザンヌの風景画




セザンヌは、サン・ヴィクトワール山をモチーフにした絵を80点も描いた。秀作といえるものは、1880年代半ばから1900年代半ばまでのほぼ十年間の間に描かれた。1890年の作品(上の絵)は、南側からの眺めを描いたもので、セザンヌの一番好んでいた構図である。日があたって山が明るく見えるからであろう。

画面中央に見える孤立した建物は、「プロヴァンスの家」のモチーフになった家である。この家は、山の南側、ガルダンヌの町のはずれにあるという。また、画面右手の高架橋は、アルク川渓谷にかかる鉄道橋で、セザンヌは以前の作品で、この高架橋を大きく描いている。

山だけを描いたのでは変化に乏しいので、手前に樹木を配してアクセントにしている。イギリスやフランドルの風景画家が好んで採用した手法である。

(1890年 カンバスに油彩 65.0×95.2㎝ パリ、オルセー美術館)



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