壺齋散人の美術批評
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女性社会主義者たち:ドーミエの風刺版画




二月革命の熱気を受けたかたちで、マルクスとエンゲルスが有名な「共産党宣言」を書いた。この挑発的なパンフレットが、フランス社会に大きな影響を及ぼすということは、しばらくの間はなかった。だが、革命の熱気は、さまざまな社会主義運動を活発化させた。フランスには、サン・シモンやフーリエ以来の社会主義の伝統があったのだ。

「女性社会主義者(Les femmes socialistes)と題したこの石版画は、文字通り女性の社会主義者をモチーフにしたものである。三人の女性が手を握り合いながら、社会主義的な言説を主張している。彼女らは、夫に対する反乱は義務のうちでもっとも神聖なものであると叫んでいるのだ。

その彼女らに対するドーミエの視線には、批判的な意識を感じる。ドーミエは、権力へ反乱には同情的だったが、女が夫に反抗するのをあおるような言動にはついていけなかたようである。

(1848年4月 リトグラフ 25.6×20.6㎝ シャリヴァリ)



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